「システムインテグレーション崩壊」を読んだ

システムインテグレーション崩壊 を読みました。

システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか?

システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか?


まず最初「はじめに」にて以下のように『システムインテグレーション』を定義していたところが良かったです。

 ここでいうシステムインテグレーション(SI)とは、「工数積算を前提としたビジネス全般」のことです。準委任や請負などの受託開発、SES(システムエンジニアリングサービス)や派遣などがこれに含まれます。
 これを「SI」という言葉にまとめてしまうには少々抵抗もありますが、世間でシステムインテグレーターSIer)と呼ばれる企業の多くは、これらをあわせ持って生業としているところが少なくありません。中にはSIerと自称しつつも、実態はSESと派遣が大半を占めているところにも決してめずらしくありません。そんな実態から、本書ではSIという言葉を広義に解釈して使っています。

よくSIerオワコンみたいなブログがあったりするのですが、定義が曖昧なまま筆者が経験した内容をもとに記載されていて、それはそれで良いのですが「SIerは〜」と主語を大きくして書かれていることに違和感を覚えることが多々ありました。SIer といっても業務内容やビジネスモデルは様々です。そんななか、書籍では『システムインテグレーション』について定義をした後、内容に入っていたところがとても印象的でした。



書いてあることは、過去に記事やブログなどで話題になっていたりすることだったりするのですが、それが整理されて1冊の本としてまとまって刊行されている、ということが良いですね。会社とかで読書会などをやるということもできますし。

印象に残ったところ

  • 021ページ:「ゴールの不一致」と「相互不信」という構造的不幸 の図
  • 037ページ:SI事業者に内在する3つの壁
  • 041ページ:ユーザ企業に内在する3つの壁
  • 055ページ:サービスビジネスへのシフトが期待される理由
  • 071ページ:新しい3つの収益モデル
  • 099ページ:日米のビジネス環境の違いから読みとく「クラウド導入の壁」
  • 130ページ:文化の違いを理解しなければ失敗する
  • 142ページ:ウォーターフォール型の開発プロセスでは新しい価値を発揮できない
  • 150ページ:なぜ、アジャイル開発が受け入れられないのか

受託開発を行っているエンジニアがこの先生きのこるには

138ページに「お客様のCIOの役割を果たす」という内容が載っています。私も、受託開発を行っているエンジニアにとって必要なのは、これだと考えています。
お客様のCIOの役割を果たすための人材は、具体的には以下のことができないいけない、ということが140ページに書かれています。

・テクノロジーと経営について正しく理解できる
・ITを組み入れたビジネスプロセスの改革やイノベーションを実現するための施策を組み立てることができる
・IT活用の可能性や価値を経営者に理解させ、施策を提案し、実行についての交渉や説得ができる
・施策を実施するためのチームを組織し、その運営をマネジメントできる

これはまさにそうだと思います。
しかし、その前に『お客様のビジネスに興味を持つ』ということが重要なのではないでしょうか。(当たり前すぎて書いていないことなのかもしれませんが)
お客様がどういうビジネスをしていて、どのように収益を上げているのか、ということに興味をもって仕事をすること、これが最初の一歩だと私は思っています。上記、CIOの役割を果たすための人材に求められていることは、とてもハードルが高いことですが、まずはお客様のビジネスに興味を持って、自分がどうやったら貢献できるか、ということを考えることを続けていくことで、価値を提供できるようになっていきたい、と私は思っています。

この本の良くなかったところ

図が多く載っているのですが、いくつかについて説明不足で何が言いたいのか分からないものがありました。


まとめ

受託開発に関わるエンジニアの皆さんに読んでほしいし、とりあえず会社とかで進めてみようと思いました。