客先常駐を終えました

3月末をもってユーザ企業への常駐を終えました。


運用支援ということで、約1年間お客様であるユーザ企業に常駐していましたが、当初の契約通り3月末をもって期間満了で常駐を終えました。
ベンダーからの常駐という立場でお客様企業に通っていましたが、特にベンダーだからといって制限されていることは多くはなく(もちろん、業務に関係ないものは見れなかったり、コアな部分は社員しか見れないようになっていましたが)、とても働きやすい環境で1年間を過ごすことができました。


これまで SIer のなかでシステム開発・運用保守を中心に仕事してきていました。そのなかで、もちろんお客様の役に立てるシステムを開発したいと思っていましたし、そうなるよう現場で行動してきたつもりです。ただ、それはあくまでもシステム開発・運用保守という現場のなかでのことだったのだ、ということをこの1年で学びました。
ユーザ企業にはユーザ企業のビジネスがあり、それを止めないこと、ビジネスをうまくまわすためにシステムがある、という当たり前のことを痛感させられた1年でした。
ユーザ企業にとってはビジネスがまわれば正直なところITなんてどうでもいい。ただ、今はITとビジネスが切っても切りはなせなくなっているので、ビジネスを止めないためにシステムやインフラを安定して運用させる必要がある、ということ。「ユーザに価値を提供する」というようなことはずっと考えてきたつもりでしたが、実際にユーザ企業に常駐してお客様の立場でITを考えてみたときに、これまでの取り組みでよかったのだろうか、ということを意識させられました。


仕事としては、主にインフラ周りを中心にやらせていただいたのですが、インフラは安定運用されていて当たり前、止まったときの影響がとても大きいのでどう上手く運用させるか、そしてどうやってコストを下げていくか、というようなことを考えさせられました。
「運用は手順書を整備して、アウトソースしてコストを下げる」というような話を聞いたことがあります。しかし、それで本当に上手くまわるのか。もちろんアウトソースするにしても『業務知識』がないといけないので全くの素人に任せるということはないと思いますが、この『業務知識』というのがどこまで求められるのか、ということがとても気になりました。*1
システムがどう動いているのか、インプットとアウトプットは何か、というようなことがいわゆる『業務知識』となるかと思いますが、それだけでは不十分で実際に使っている(組織内の)エンドユーザや取引先などの関係者のことなども強く意識しておかなければなりません。



私がシステム開発・運用をやってきているときにも「障害は起こしてはいけない」という意識で取り組んでいましたが、実際にユーザ企業において障害が発生したときにどれだけビジネスに影響があるのか、(社内外に)どれだけ関係者がいてどのように連絡をしていかないといけないのか、システムが(一時的に)止まったときにビジネスに影響を与えないために何をする必要があるのか、というようなところまで考えられていたか、というと疑問が残ります。



この1年間の常駐生活のなかで、少しはそういったことを意識できるようになってきたと(自分では)思います。
今後また自社に戻り SIer という立場でシステム開発に取り組んでいくなかで、この1年間で学んだことを活かしていけたら、と思います。

*1:ちなみに、『属人性』と『属技能性』を意識したのも、この辺りを考えていたときですね。